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東京地方裁判所 昭和48年(そ)4号 決定

請求人 浅野ハツ 外二〇名

主文

請求人浅野ハツに対し金一六三、八〇〇円

同 平山あきに対し 金二三一、四〇〇円

同 村田富美に対し 金二九六、四〇〇円

同 片倉政雄に対し 金二七九、五〇〇円

同 磯部て子に対し 金四〇〇、四〇〇円

同 常住シマに対し 金二六三、九〇〇円

同 崎野和子に対し 金四三六、八〇〇円

同 鈴木婦美子に対し金三〇一、六〇〇円

同 藤沢芳子に対し 金四〇一、七〇〇円

同 滝沢輝子に対し 金 四一、六〇〇円

同 望月信子に対し 金二九二、五〇〇円

同 小林光治に対し 金二八三、四〇〇円

同 岸野貞男に対し 金三九三、九〇〇円

同 天野隆一に対し 金二〇二、八〇〇円

同 尹仁奎に対し  金一一九、六〇〇円

同 呉公哲に対し  金三八六、一〇〇円

同 金雲燮に対し  金四二五、一〇〇円

同 朴燦正に対し  金一三九、一〇〇円

同 福中照明に対し 金三一二、〇〇〇円

同 小池清雄に対し 金三二二、四〇〇円

同 金芳江に対し  金一一九、六〇〇円

をそれぞれ交付する。

理由

一、関係記録によると、別表(二)記載の被告人らは、当裁判所で同表記載の各被告事件について、同表記載のとおりの裁判を受け、右各裁判はいずれも確定したものであること、および右被告人らは、右各被告事件に関し、同表記載のとおり逮捕勾留により、同表記載の日数それぞれ抑留・拘禁されていたことが認められる。そして、同表1ないし14および21の各被告人の各公訴事実(ただし、12の被告人の公務執行妨害の点は除く。)については、関係記録を検討しても、有罪と断ずるに足りるだけの証拠資料は見当たらず、もし公訴棄却の裁判をすべき事由がなかつたならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があり、同表15ないし19の各被告人は、騒擾助勢以外の罪について有罪とされており、同表12の被告人は公務執行妨害罪についても起訴されていたものであるが、同人らに対する抑留・拘禁が主として騒擾助勢の罪によつてなされたものであることは関係記録上明らかである。なお、同表20の被告人については、逮捕は無罪となつた騒擾助勢とは全く別事件である公務執行妨害・公文書毀棄の事実についてなされているが、引き続く勾留は騒擾助勢およびこれと時を同じくする公務執行妨害についてなされているのであり、またその後一時右別事件のみについての勾留状により勾留されていた期間があるようにうかがえるが、その間の勾留も騒擾助勢の罪について利用されていたことが明らかであり、同被告人に対する抑留・拘禁もその全期間を通じて主として騒擾助勢の罪についてなされたと認めるのが相当である。

二、関係記録および請求人ら代理人提出の疎明資料によると、請求人らは別表(一)記載のとおり被告人本人であるか、または死亡した被告人らの相続人であると認められ、同表中1ないし12および21に記載の請求人は、刑事補償法二五条、二条一項により、13および14に記載の請求人は、同法二五条により、15ないし20に記載の請求人は、同法一条一項によりそれぞれ刑事補償を請求することができる者であることが明らかであるから、いずれの請求人に対しても同法四条一項、二項に則り、別表(二)記載の各抑留・拘禁日数に応じ、一日金一、三〇〇円の割合による補償金を交付すべきものと認められる。ただし、別表(一)の3ないし10記載の請求人は、いずれも、各被告人の同順位の相続人が数人請求している場合に該当するが、同法一〇条一項によりその一人のした補償の請求は全員のためその全部についてしたものとみなされ、同法一七条によりその一人に対する補償の決定は、その全員についてなしたものとみなされ、同法二〇条二項、二一条によりこの理は補償払渡の請求および効果についても同様とされているので、便宜その一人のみについて補償の決定をするが、そのことは他の請求人の権利をいささかも害するものではない。以上の理由により、主文記載の各請求人に対し、主文に記載した各金額の補償金を交付すべきものとし、同法一六条前段に則り主文のとおり決定する。

(別表(一)(二)略)

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